Interview
Vibes n Vistas
K-Art Voices
2026
Interview by
Stewart Collins
In this interview, Soonhwa opens up about her complex encounters with inbetweenness as well as the inspiration she draws from ancestral rituals, family memories, and broader cultural narratives of the East Asian region. She also reveals a strong desire to transcend her personal story, inviting others “to feel and share collective experiences of loss, care, and the value of the present moment” across borders.
Vibes n Vistas
Vibes n Vistas is a Finland-based creative platform dedicated to promoting Korean contemporary art on the global stage. Pease visit the Vibes n Vistas website to read the full interview (in English)
Below is my original Japanese text of my interview (only selected answers to their questions).
1. ハールレムに来たきっかけは何ですか?
私は日本で韓国にルーツを持ちながら育ちました。今でも日本と韓国の両方に強い繋がりを感じています。しかし、幼い頃から、自分が育った環境とは異なる文化の中で生活してみたいという思いがあり、中学生の頃には海外で暮らしたいという強い願いを持つようになりました。その後、大学ではドイツ文化を学びました。
東京、シンガポール、ニューヨークでビジュアルデザイナーとして働いた後、子どもの誕生をきっかけにハールレムへ移住しました。当時は、都市とのつながりを保ちながらも、自然をより身近に感じられる場所を探していました。森や砂丘が近く、アムステルダムへもアクセスしやすいハールレムは、そのバランスがちょうど良いと感じました。
2.この街の第一印象はどうでしたか?
ハールレムの第一印象は、時間の流れがゆったりとしていることでした。これまで暮らしてきた大都市と比べて、より穏やかで余白のある時間が流れていて、内省するための余裕があるように感じました。
一方で、最初はやや多様性が少なく、全体的に閉じた印象も受けました。東京やニューヨークのような都市と比べると、その違いは感じられましたが、近年は徐々に変化してきているようにも思います。
特に印象的だったのは、歴史的な建物が壊されるのではなく、新しい役割を与えられて大切に使われていることです。街の中心にはモーツァルトが演奏したことでも知られる大教会があり、近くにはかつての魚市場が現代美術の展示空間として使われています。こうした歴史と現在が重なり合うあり方に強い印象を受けました。
4.地元のアーティストや機関、コミュニティと協働した経験はありますか?(印象に残っている展示やレジデンス、プロジェクトなどがあれば教えてください)
昨年、Kunstlijnの期間中に、韓国の祖先儀礼であるチェサに着想を得た陶の作品の展示が、アーティストルートの一会場として選ばれました。展示の一環として、子どもから大人までが参加できるテーブルを設け、それぞれにとって大切な記憶や食べ物を自由に描いてもらう場をつくりました。
このプロジェクトを通して、来場者の方々と多くの対話が生まれました。例えば、最近韓国を訪れ、そこで初めてチェサについて知ったという方もいれば、ご自身の家族の記憶や大切な人について語ってくださる方もいました。こうしたやり取りはとても印象深く、たとえ文化や習慣が異なっていても、大切な人を想う気持ちは国境を越えて共有されうるものだと実感しました。この経験は、自分の作品を通して地域のコミュニティとつながる、かけがえのない機会となりました。
5.この街はあなたの制作にどのような影響を与えましたか?(素材、考え方、アプローチ、テーマなど)
オランダでの生活は、仕事とプライベートのバランスがしっかりと保たれており、そのリズムの中で、考えたり書いたり、自分の内面に向き合う時間が増えました。その過程で、自然と自分にとって身近に感じられる素材へと関心が向かうようになりました。
アートアカデミーに在籍していた頃は、自分のオランダ語に自信が持てず、また異なる文化の間で自分のアイデンティティについて模索している時期でもありました。そのような揺らぎの中で、制作において常に「なぜなのか」と問い続けることがとても重要になりました。それは、自分自身や制作の方向性をより深く理解するための指針となりました。
ちょうどその頃、ハールレムを訪れていたイタリア人の禅僧によるワークショップを通して、初めて墨と出会いました。その素材にすぐに強く惹かれ、後に自分の制作において重要な要素の一つとなっていきました。
その後、アムステルダムのクレイアカデミーで陶芸を学び、技術的な基礎を多く身につけました。また、ハールレムのセラミックセンターでは、さまざまな異なる文化背景を持つ人々と出会い、そこでの対話が新たなインスピレーションや視点をもたらしてくれました。
こうした経験や出会いの積み重ねが、現在の自分の制作や考え方を形づくっています。
6.この街で忘れられない瞬間、プロジェクト、または展示は何ですか?
2025年に、ハールレムの歴史ある市庁舎で作品を展示する機会をいただきました。最初は、そのような伝統的なオランダの建物の中で自分の作品が調和するのか、不安に感じていました。また、通常は一般公開されていない空間のため、事前に何度も訪れて確認することができず、その点でも不安がありました。
しかし、展示が始まると、建物の持つ空気と自分の作品が、予想していなかったかたちで自然に響き合っていることに驚きました。特に印象に残っているのは、来場者の反応です。韓国や日本にまつわる文化的な記憶や、韓国と日本という二つの文化の間で育った経験、そしてチェサ(韓国の法事儀式)から受けたインスピレーションについて話すと、多くの方が純粋な関心と開かれた姿勢で耳を傾けてくれました。
個人的な記憶や文化的な背景が、作品を通して全く異なる文化背景をもった人々と共有されたその瞬間は、私にとって決して忘れることのできない経験となりました。
7.海外で生活する中で、韓国にルーツを持つことはどのように作品に影響を与え続けていますか?
日本で韓国にルーツを持ちながら育った私は、自分がマイノリティであることを強く意識していました。同時に、韓国語が流暢でなかったこともあり、どちらの国にも完全には属していないような感覚の中で、二つの文化の間を行き来しているように感じることが多くありました。
海外で暮らし始めてからは、次第に自分を一つの国籍の枠の中で捉えることが少なくなり、より広い東アジアという視点から物事を見るようになりました。この変化を通して、自分のルーツや家族の記憶、そして東アジアの歴史や文化について、より深く考える時間が増えていきました。それは、自分の内面へと向かう重要なプロセスでもありました。
韓国と日本には、亡くなった人を偲ぶための伝統的な儀礼があります。海外で暮らしている中で母が亡くなったことをきっかけに、自分なりの方法で母を想い続けるにはどうすればよいのかを考えるようになりました。それが、記憶のための個人的な器として陶のオブジェを制作すること、そして記憶と結びついた素材として墨を用いることの始まりとなりました。この個人的な実践は、現在の制作の重要な基盤となっています。
また、オランダで生活することで、それまで当たり前だと思っていたものへの意識も変化しました。韓国や日本では山は日常の一部ですが、ここではそれがないことで、逆に記憶の中でより強く存在を感じるようになりました。欠けているものが、かえってより鮮明に意識されることがある——その感覚は、帰属意識や記憶、そして文化の連続性について考える上で、今も制作に影響を与え続けています。
11.リフレッシュしたいとき、街のどこに行きますか?(心を落ち着かせたり、インスピレーションを得る場所など)
私は週に一度、中国の少林寺と正式につながりのあるオランダで唯一の場所で少林寺拳法を練習しています。それは身体的にも精神的にも自分をリセットし、地に足をつける時間になっています。
また、ハールレム近郊の砂丘を歩くことも好きです。開かれた風景と移ろう光の中で、自然と速度がゆるみ、思考が静かに落ち着いていきます。
時には特に目的地を決めずに、ハールレムの街を歩くこともあります。こうした異なる環境を行き来することによって、無理に考えようとしなくても、自然とアイデアが浮かび上がってくることがあります。
13.現在取り組んでいることは何ですか?今後予定している展示やコラボレーション、あるいは楽しみにしているアイデアはありますか?
これまでの制作は、家族の喪失や移民としての追悼儀礼の記憶など、個人的な喪失体験に根ざしたものでした。しかしこれまでの展示を通して、作品に触れた方々がそれぞれの「記憶」や「追悼」にまつわる体験を語ってくださる場面がありました。その経験をきっかけに、次のプロジェクトではアプローチを少し変えようとしています。個人的な物語を超えて、他者とともに喪失やケア、そして「今」という時間の価値を感じ、共有できるようなインスタレーションをつくりたいと考えています。現在はそのビジョンをかたちにするために、アイデアの探求や素材・形式の試行を重ねている段階です。
14. ハールレムとの関係は今後どのように変化していくと考えていますか?
時間をかけて、制作活動だけではなく、広い文化的な交流の両面を通して、ハールレムとの関係が深まっていくことを願っています。昨年、Hanato Atelierを立ち上げ、さまざまな文化的背景を手仕事を通して共有し、その背後にある考えや物語にも触れる場をつくりました。また、他のアーティストも招き、それぞれの視点が交わり、響き合う機会を生み出しています。
私にとって、手を使って素材と向き合うことはとても重要です。素材には時間や記憶が宿っていると感じており、共に何かをつくるという行為は自然に対話やつながりを生み出します。スピードの速い現代において、こうしたゆったりとした時間はますます大切になっているように思います。
このような活動を通して、オランダ、韓国、日本の間に対話の場をつくり、静かなかたちで文化的な交流を育んでいくことができればと考えています。